債務整理【任意整理・特定調停・個人再生・自己破産】で借金問題を解決するには

借金問題を解決する債務整理の方法には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つの方法があります。各々の債務整理の方法のメリットとデメリットを詳しく解説します。また、過払い金の請求についても説明しています。任意整理、特定調停、個人再生、自己破産のうち、どの債務整理が一番適しているかをどのようにして判断すれば良いか?また、その手続きにはどのようなものが必要かも説明します。過払い金請求によって、借金問題を解決するだけでなく、お金が戻ってくる場合もあります。

自己破産の費用の目安

自己破産をするときは、お金がない、といった状態になっているはずです。しかし、自己破産をするにしてもお金はかかります。事前にどのくらいの費用がかかるのか?といったことを理解したうえで実行しなければなりません。

今回は、裁判所にかかる費用はどれくらいなのか?さらに弁護士にかかる費用はどのくらいなのか?といったことを明らかにしていきます。


■自己破産時に裁判所にかかる費用とは?

収入印紙代・・・1,500円
・予納郵券代(切手代金)・・・3,000円から15,000円ほど
・予納金(同時廃止のケース)・・・10,000円から30,000円程度
・予納金(少額管財事件のケース)・・・200,000円から
・予納金(管財事件のケース)・・・500,000円から

ケースバイケースによって裁判所にかかる費用も大きく変化してくるのです。

同時廃止のケースは基本的に費用は少額ですみます。かかったとしても50,000円弱となっているので、比較的気軽に自己破産できる金額、と言っても良いかもしれません。
一方で管財事件になってしまった場合には、どうしても数十万円の費用が発生してしまいます。
ちなみに予納金は余ったものは戻ってきますが、ほとんど戻ってきません。

※同時廃止と管財事件について・・・一定以上の財産がある場合は管財事件として取り扱われます。一定以上の財産がない場合には同時廃止になります。管財事件になると財産を換価していくことになるので、費用がかかってしまうのです。

予納郵券代ですが、多くの業者から借り入れていた場合は高額になります。貸金業者の数が多ければ多いほど費用がかかる、といった状態になっているわけです。


■弁護士のかかる費用とは?

・同時廃止のケース・・・200,000円から300,000円程度
・管財事件のケース・・・300,000円から400,000円程度
・法人破産のケース・・・600,000円から700,000万円程度

自己破産の内容によって、弁護士に支払う費用にも大きな違いがあります。
同時廃止のケースは、大手の弁護士事務所であれ250,000円程度で対応してくれるケースが多いです。それほどかかるわけではありませんし、いざとなった場合には分割払いにも対応してくれているので心配することはありません。

管財事件のケースは手続きも増えてしまうので、同時廃止に比べると100,000円くらい上乗せされてしまうことになります。

自己破産はどういったケースに選択すべきか?

自己破産は究極の債務整理方法、と言っても過言ではありません。ですから、気軽に選択するものでもありません。デメリットもあるので、そのデメリットを超えてメリットがある、といった状態でなければ利用してはならないのです。

今回は自己破産を選択すべきケースについて考えてみます。もしも自身が当てはまっている場合には、自己破産を考えてみませんか?


■借金額が大きすぎる

・高額な借金で返済が出来そうもない

一般的な収入があれば、100万円や200万円。それを少し超えた程度の借金であったとしても対応できるでしょう。そのまま返済が出来なかったとしても、任意整理や個人再生といったものを選択しても良いわけです。

一方で一般的な収入であっても、借金額が数千万円の借金があったらいかがでしょうか?毎月の返済額も10万円を超えている、といった状態になってくると返済が著しく難しくなってしまいます。そもそも利息の支払だけにも窮してしまう、といったことが考えられます。

借金額が収入に比べて明らかに大きすぎる場合には、自己破産が適当、といった判断が出来ます。


■収入がない、著しく少ない

・返済ができないケース

収入がない。無職になってしまった。といったケースに関しては、他の債務整理方法でも対応できません。任意整理にしても特定調停にしても個人再生にしても、全て返済をしなければなりません。返済をしなければならないということは収入がなければ対応できない、ということでもあるわけです。

収入がないということは、自己破産をして借金をゼロにする他ありません。収入が著しく少ない場合も自己破産が適当、と考えられます。

例えば、個人再生を行うと少なくても100万円の借金は残ります。100万円の借金を3年間で返済しようとすると、毎月28,000円程度の返済が必要になってくるわけです。その金額の返済が出来ないのであれば、自然と自己破産しか選択肢がなくなります。


■他の債務整理では対応できない場合

・自己破産は最後の手段

自己破産は多くの方の頭のなかにあると思います。借金苦になってきたら自己破産が思い浮かぶと思いますが、あくまで最終手段、といった認識を持ってください。他の方法で対応出来るに越したことはありません。

自己破産を選択するときは、他の債務整理方法をまずは検討して下さい。それでも自己破産を選択せざるを得ない、といった場合に自己破産を選ぶのです。

自己破産の2つのケース|同時廃止と管財

債務整理の個人再生にも2つありましたが、実は自己破産にも2つあるのです。

・同時廃止
・管財

上記の2つが自己破産に用意されているのですが、それぞれのどのような特徴があるのか?といったことはあまり知られていません。

今回は同時廃止と管財の2つにはどのような特徴があるのか?ということを明らかにしていきます。


■同時廃止について

・財産がない場合に適用される

同時廃止というものですが、債権者に対して配当できるような財産がない、といった場合に適用されるものになります。要は債権者は、得るものがないような自己破産なのです。

そもそも、自己破産をする方は基本的に財産がないケースが多くなっているのです。ですから殆どの場合は、同時廃止が実施されます。

財産を換価して債権者に配当する、といったことをする必要が無いので、時間的にそれほどかからない、といったメリットもあります。すぐに自己破産がしたい、といった希望を叶えてくれるわけですが、我々が同時廃止を選択するわけではありません。財産があるかないかによって判断される、ということは覚えておくべきです。


■管財について

・財産がある場合に適用される

同時廃止と真逆のものでもあります。配当できる財産がある場合に管財事件として取り扱われるのです。

管財事件になると、破産管財人といったものが専任されます。財産を換価することになるので、手続きにはかなりの時間がかかってしまいます。さらに裁判所には予納金といったものも収めなければなりません。
幾つかのデメリットがあるのです。

将来的に自己破産を考えているのであれば、高価な財産を一部自分で処分して現金化して返済に回す、といった対応策もおすすめです。そのほうが、早く自己破産が出来るようになるのです。

・管財事件だからといって避けることはない

免責決定までに時間がかかるというだけで、特別大きな影響はありません。管財事件であろうと同時廃止事件であろうと、基本的に実施されることは同じです。借金がゼロになるわけです。

手続きに時間がかかってしまったとしても、その間に取り立てが実施されるわけではありません。自己破産の手続き中は取り立てを行ってはならない、といった決まりもあるのです。ですから、管財事件だからといって大きなマイナスはありません。

自己破産が出来ないケース

借金がゼロになるといった、嬉しい機能を持っているのが自己破産です。借金問題で悩んでいる方の多くが、自己破産をして、いまの窮地を乗り越えて行きたい、と思っているのではありませんか?

しかし、誰でも自己破産が出来るわけではありません。実際に、自己破産が選択出来ない、という方もいます。

今回は、自己破産が選択できない方について考えていきます。もしも当てはまっている場合には注意しましょう。

※必ずしも自己破産が出来ない、と断定するものではありません。程度によっては自己破産がOKとされるケースもあります。


■浪費やギャンブルが原因で借金をしている場合

・免責不許可事由とされてしまう

自己破産をするためには免責の決定を受けなければなりません。しかし、免責の決定を受けるためには、その借金の質、といったものが大きく関係してくることが分かっているのです。通常の生活費が足りなくてお金を借りた、というケースや、学費が足りなくてお金を借りた、といったケースであれば問題ありません。

一方で、単なる浪費であった場合には問題あり、と判断されてしまいます。高価な飲食店を定期的に利用するためにお金を借りていたケース、さらにギャンブルをする資金を得るためにキャッシングを利用していたケースに関しては、問題あり、と判断されてしまいます。自己破産が認められない状態になってしまうのです。

ちなみに、浪費やギャンブルですが金額が少ない場合には問題なし、とされる可能性があります。また、自己破産する直近で浪費やギャンブルをしていない場合には、自己破産が出来る、とされる場合もあるので、浪費やギャンブル目的で借金をしていたとしても自己破産できる可能性はあります。


■財産を隠していた

・隠し財産は絶対にダメ!

破産をする時には財産を処分といったことも考えられます。それをいやがって、財産があるのに、隠して逃れようとしてしまう方もいます。それが発覚してしまうと、自己破産は取り消しにされてしまうのです。
免責不許可事由とされてしまうので、必ず財産は申告するようにして下さい。自己破産が不許可になってしまうと、生活に大きな影響が出てくることも十分に考えられます。


■裁判官の裁量が関係してくる

・基本的には自己破産は認められることが多い

自己破産が出来るのか?それとも出来無いのか?という部分ですが、裁判官が決めてくることでもあります。
どんな理由があるにせよ、自己破産をする方は自己破産をしなければ生活が立ち行きません。ですから、裁判官は自己破産を認めるケースが多いのです。
よほどのことがなければ大丈夫、と覚えておきましょう。

自己破産の流れ

自己破産は債務整理の中でも最も効力が高いものです。借金問題解決の「最後の砦」と言っても良いかもしれません。だからこそ失敗出来ないのです。

今回は、自己破産の流れについて解説します。どのような順序で自己破産は進んでいくのでしょうか?

自己破産についてほとんど予備知識がない、という方は必見です。


■まずは弁護士・司法書士に連絡を実施

・相談をすることから始めること

自己破産が出来るのか?ということが大きなテーマになります。あなたの状況によっては自己破産が適当ではない、と判断されることもあるのです。
客観的な目で自己破産が適当なのか、といったものを判断してもらうためにも、先ずは弁護士や司法書士に相談してください。

相談時にはどのくらいの借金をしているのか?毎月の返済額はどのくらいなのか?月々の返済能力はどれくらいあるのか?といった事を伝えなければなりません。

・相談時の注意点

自己破産のデメリットをしっかりと把握しましょう。財産などに対する大きなデメリットがあるので、必ず把握しておくべきです。


■自己破産の依頼と書類の準備

・弁護士に手続きを依頼する

自己破産をすることが決定したら、弁護士に対して自己破産の手続きをお願いすることになります。依頼すると受任通知、といったものを送ってもらうことになります。
貸金業者からの取り立てがストップするので、ほっと一息つけますよ。

・書類の準備を行うこと

自己破産をする時には各種書類が必要になります。
必要な書類に関しては、弁護士事務所側からしっかりと指摘をされるはずなので、指摘されたものを用意すれば良いだけです。特に難しい物はありません。


■裁判所に対して申し立てを実施する

・裁判所に自己破産を申請する

書類を弁護士などに作成してもらいます。自己破産お申込書というものですが、それを管轄の地方裁判所に提出することになるのです。

自己破産の申立が済んだら、あとは基本的に弁護士にお任せしておけば問題ありません。


■最後に免責が決定!

・借金がゼロになる

免責が決定すると自己破産が出来た、という状態になります。借金がゼロになるので、返済義務はなくなります。借金を返済をしないで良い状態になる訳です。

ただ、財産などが一部処分されてしまうようなこともあるので、自己破産前の生活と全く一緒、というわけにはいきません。

自己破産のメリット・デメリット

債務整理の中でも、最も高い効果を持っているのが自己破産です。借金に困ったら自己破産をすればいいや、といった軽い気持ちを持っている方もいるのではありませんか?
しかし、もちろん自己破産にはデメリットもあるのです。

こちらでは、自己破産のメリットとデメリットを記載します。利点だけではなく、マイナス面にもしっかりと目を向けていきましょう。


■自己破産のメリットとは?

・借金がゼロになる!

これ以上のメリットはないかもしれません。仮に、500万円や1,000万円、さらに2,000万円や3,000万円の借金があったとしても、自己破産をすればゼロになります。
今後、返済をする必要が全く無いので、根本的な借金対策ができる、と言っても過言ではありません。

・手続きをすれば債権者は手が出せなくなる

自己破産を希望する状況になっていると、かなり頻繁な取り立てが行われているでしょう。そろそろ強制執行が行われるのではないか、というケースもあると思います。

強制執行・・・給与の差し押さえなど

自己破産の手続きに入れば、基本的に債権者は手出しが出来なくなります。取り立てもストップすることになりますし、給与などを差し押さえして返済額を確保されてしまうような行為も抑制出来ます。

・財産が一部残せることも

価値があまりないと判断される財産は処分されません。そのまま保持し続けられます。
自己破産をしたとしても、すべての財産を失うわけではありません。


■自己破産のデメリットとは?

ブラックリストに掲載されてしまう

自己破産を実行してしまうと、今後5年間から10年間程度はブラックリストに掲載され続けてしまいます。
ブラックリストに掲載され続けてしまうと、その間は新たな借り入れができません。クレジットカードの作成もできません。
ただし、5年から10年で記載から除外されるので、その後はローンを組むことも、クレジットカードを作ることも可能です。

・一部の職業で働けなくなることも

警備員や士業で働いている方には大きな影響があります。自己破産をしてしまうと、免責が決定するまでは、一部の仕事ができない、といった決まりがあるのです。職業的に自己破産が選択しにくいケースがあるので注意してください。

官報に掲載されてしまう

多くの方の目に触れるわけではありませんが、国の機関氏である官報に名前が掲載されてしまいます。

ただ、官報に掲載されることで友人や知人に自己破産がバレる、といったケースは極めて少ないです。そもそも、ほとんどの方は官報を見ていません。

 

自己破産の特徴とは

借金問題の最後の手段とされているのが自己破産です。自己破産をすればとりあえずは借金問題が解決する、といったイメージがありますが、その内実を深く理解しているでしょうか?理解せずに選択してしまうと後悔してしまうかもしれません。

こちらでは、自己破産の特徴を紹介します。借金が膨れ上がっており、どう考えても返済ができない、といった状態に陥っている方は必見です。


■裁判所で借金を免除してもらえる

・裁判所で支払い不可能であると認められる必要あり

自己破産をするためには、まずは裁判所に返済能力がない、ということを理解して貰う必要があります。収入がない、というケースや、収入が著しく低い、といったケースが該当します。

裁判所に免責が許可されれば、基本的にすべての借金がなくなります。今後、借金の返済義務はないので、今まであった毎月の返済もする必要もなくなるのです。

ただし、注意して欲しいのが税金の滞納です。税金を滞納してしまうと、それも自己破産できると思われているフシがあるのですが、それは正しくありません。税金は債務整理出来ないので、支払わなければならないのです。


■財産を手放さなければならない

・一定以上の価値が認められるものは手放すことに

財産は、お金に変換されます。もちろんすべての財産ではなく、一定以上の価値がある、と認定されたものに限られます。

お金も財産に入ってきます。注意したいのが20万円を超えるような預貯金をしている場合です。現金は20万円まで保持できますが、それ以上に関しては保持できないので、配当にまわされてしまうのです。

不動産や自動車といったものは基本的に処分されて手元には残りません。自己破産前の生活とは大幅に異なってしまう可能性も少なからずあります。


■家族への影響は殆ど無し

・家族はローンを利用出来る

自己破産をした本人は、しばらくはローンを組むことも出来ません。クレジットカードを作ることも出来ません。個人信用情報に自己破産を行った旨が記載されてしまうので、各貸金業者に避けられてしまうのです。

一方で、家族に対しては特にローンの制限があるわけではありません。要は本人だけが影響を受ける、といったシステムになっているのです。

※住宅や自動車のことを考えると、自己破産の影響が全く無い、とは言い切れません。住まいを変えなければならず、家族に悪影響が出ることもあるので、前もって家族に自己破産する旨を伝えておきましょう。