特定調停の利用者が少ない理由とは?
特定調停は債務整理方法の1つとして以前は広く知られていました。しかし、最近ではあまり多くの方が知っている状況ではなくなって来ています。
そもそも、利用者の数が年々減り続けています。
例えば、2003年のデータですが、年間で500,000件以上の特定調停が実施されました。しかし、2007年には200,000件程度まで減り、さらに2008年には100,000件と推移してきています。
近年では、10,000件から20,000件程度となっています。
なぜそれだけ利用者が少なくなっているのでしょうか?その理由に迫ります。
■特定調停の利用者が少ない理由|過払い金の請求が出来ない
・特定調停の場合は過払い金対応が不可である
特定調停が選ばれない理由として最も考えられているのが、過払い金の問題です。グレーゾーン金利が撤廃されたことで。多くの方が過払い金の返還請求を実施しているのです。実際に、多くの方に過払い金は発生しており、100万円や200万円の返金を受けている事実があります。しかし、注意しなければならないことは、特定調停では過払い金の請求が出来ないのです。
過払い金がたとえ発生していたとしても、特定調停では手のつけようがありません。仮に、過払い金返還のほうがメリットは大きいのに特定調停を選択してしまえば、逆効果になってしまいます。
過払い金がある方は、自然と特定調停の利用を避けるようになっているのです。
■特定調停は合意できないケースが多くなっている
・貸金業者によっては調停に応じないケースも
特定調停の場合は、必ず借金問題が解決するわけではない、といった事情があります。調停不成立に陥ってしまったケースがかなり増えてきているのです。そもそも、特定調停には専門家が関わっていないので、どうしても悪い結果が出てしまいます。
調停不成立になってしまうと、借金の減額が一切されない、といった状態になってしまいます。専門家が関わっていないので、どうしても各業者は強気に出てきてしまうのです。
強気に出て来られないようにするためにも、最初からその他の債務整理を選択する、といったことが必要になってきます。
・調停に変わる決定について
実は特定調停には、
・調停成立
・調停不成立
・調停に変わる決定
の3つの結果があります。この中で、「調停に変わる決定」の比率が大いに高まっているのです。調停では成立せずに、裁判所が仲介してなんとか調停に変わる決定で成立している現状なのです。
調停不成立も増えているので、注意しなければなりません。